東京・高円寺と言えば、都内屈指の古着スポット。1960~70年代にかけての「フォーク文化」、80~90年代の「バンドブーム」にあわせて音楽を中心としたサブカルチャーの街として発展してきた。
その頃から古着屋がJR高円寺駅を中心に南北へのびる商店街の中にできはじめ、古着の街として注目されるようになったのは90年代の初頭。主に昭和レトロ感たっぷりなキッチュな古着店やアメカジ・バイカー・パンク・ロカビリー・モッズなど、さまざまなカルチャーに接続する古着店が集まっていた。
高円寺の商店街からヨーロッパの街角へ
そんな古着の街・高円寺で、独自の審美眼により一線を画す存在となっているのが、ヴィンテージショップ「Frescade(フレスケード)」だ。クラシカルなムードが漂う店内は、まさに「古着を嗜む大人のための空間」。徹底したセレクトとコンディションの良さは、古着に慣れ親しんできた経験のある50〜60代から、時代を掘り返して本物を追求する若い世代まで、世代を超えた支持を集めている。

「Frescade」の母体となる「ZOOL(ズール)」が創業したのは1990年。昨年35周年を迎えた老舗だ。90年代後半のヴィンテージ古着ブームに乗り、原宿や代官山、新潟、横須賀などにも各地に出店していた歴史もある。現在は高円寺に「ZOOL」と「Frescade」の2店舗を展開している。
店の扉を開けると、世界中から集められたアンティーク家具が迎えてくれる。高円寺の人情味ある商店街から、一瞬にしてヨーロッパの古い街角にある店に迷い込んだような錯覚に陥る。什器として使われている家具に並べられているのは、すべて世界に一点限りの服だ。服好きはもちろん、これまでファッションに馴染みがなかった人でさえも「なんか面白いもことが始まりそう」と胸が高鳴るに違いない。
ジャズセッションのような店
そんな魅力的な空間を作り出したオーナーのKAORIさんに話を聴いた。

―古着店を始めたきっかけは?
元々はデザイナーになりたくて服飾専門学校を経て、コレクションブランドに入社しました。その後、いくつかのブランドでデザイナーとしてキャリアを積んでいた頃、偶然立ち寄ったアンティーク雑貨店で店主と意気投合し、服が好きだった私や友人たちの影響で、徐々に古着を取り扱うようになりました。その後、結婚を機に本格的に古着を扱うようになり、いまに至ります。
―運命的な出会いですね。買い付ける際のこだわりは?
なによりコンディションを重視します。古着といっても状態が良いものをお届けしたいので、お直しができる範囲なのかは見極めます。
例えば、ブラウスやカーディガンでボタンが欠けていれば、同じ時代のデッドストックのボタンから探し出して付け直すこともあります。以前はリメイク古着を手掛けていた時期もありましたが、根底にあるのは「良いものを長く着てほしい」という想いです。
―服飾を学んでいたからこそお直し可能かの見極めができるんですね。では、デザイン面で意識していることは?
よく音楽に例えるんですけど、「Frescade」のスタイルは「ジャズセッション」だと思っています。ジャズは演奏者やその場の空気で音が変わる即興の芸術。これってファッションも同じで、お客さまが手持ちの服とどうミックスするかでスタイルが全く違うものになります。
一つのブランドでコーディネートする人は少なくて、ミックスコーディネートするのが当り前だから、日ごろから最新トレンドや海外のコレクション情報もキャッチして、今の空気感にフィットするヴィンテージを提案するように心がけています。


―接客において大切にしていることは?
スタッフには「試着してみてください」と言うだけが接客ではない、と伝えています。まずはこの空間を楽しんでもらうこと。良くも悪くも「近寄りがたい」といわれることが多いので、まずはこの空間を楽しんでもらうために世間話で和ませることも販売の仕事だと言っています。古着がもつ歴史に、この店で服と出会った時の記憶まで含めて、これから大切に着ていただきたいですから。
―最後に、KAORIさんにとってファッションとは?
自分を奮い立たせるツールですね。私自身もそうですが、ファッションを楽しんでいる人には独特のパワーがあります。うちのお客さまにはお堅い職業の方も多いのですが、「休日に思い切りおしゃれをすることで元気になれる」と仰ってくださるんです。ヴィンテージが持つ歴史のロマンに触れ、背筋を伸ばして歩く。そんな高揚感を提供し続けたいですね。

店名 Frescade(フレスケード)
所在地 東京都杉並区高円寺南3-45-1永和ビル1F
営業時間 12:00~20:00(不定休)
URL https://www.frescade.jp/
Instagram @zool_frescade

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