国立科学博物館で2013年3月16日(土)~6月9日(日)まで開催されていた特別展「グレートジャーニー 人類の旅」展に行ってきました。
そもそも「グレートジャーニー」とは、アフリカに生まれた人類が、世界中に拡散していった人類最大の旅路を、イギリス人の考古学者ブライアン・M・フェイガンが名付けました。700万年前の人類誕生から始まり、人間が住むのに決して快適ではない地域(熱帯雨林、高地、極北、乾燥地帯)で人はどうやって生きてきたのか。地球上の様々な環境で今も暮らす人々の生活を知ることから、その土地ならではの「生きる知恵」と「文化」を見て、「人間の生きていく強さ」を再発見し、そこから人類と地球の未来を考えていただこうという壮大なコンセプトの展示内容になっていました。
地球上の様々な環境で暮らす人間の「生きる知恵」と「文化」に必要不可欠なのは、何といっても「衣食住」です。古代の人たちが雨風や熱さ・寒さにどう対処してきたのか。グレートジャーニー展で見ることができたので、少し紹介してみます。
今では貴重な天然染料
これは、アンデスの高地の鮮やかな民族衣装を彩る染料と媒染剤の材料の紹介だったのですが、天然の赤い染料といえば「コチニール」がお馴染みです。これは繊維だけでなく、食品や化粧品、医療品にも使われる染料の原料で、通称は「カイガラムシ」です。写真では見たことがありましたが、ここで実物にお目にかかれました。
写真にあるように、コチニールにレモンや塩などを媒染剤にすることで、深いえんじ色になるのです。個人的にこのような深みのあるえんじ色は好きです。
この他にはイエロー~カーキ、グリーン~ブルーへの様々な色の染料、媒染剤を展示していました。
草木染された生地はカーキっぽかったり、黄みが強いブラウンをしていることが多いのですが、展示からもイエローやカーキ系は特に媒介するものがなくても色が染まり、定着しやすいことが分かります。
逆に、赤や青は媒介するものがないと、鮮やかな色は再現しにくいということが分かりました。
その中で一番興味深かったのはこちら…
媒染剤に「発酵したこどもの尿」を使っているそうです。なぜに“こども”限定なのでしょうか?とても興味が湧きました。
アルカリ成分の量の問題なのでしょうか?中にはこの写真をみて「なんて汚い」と顔をしかめる方もいるかもしれませんが、これがその国の文化なのです。おもしろいですよね。
この他にも様々な極地の衣文化が紹介されていて、たいへん勉強になりました。人気漫画「ゴールデンカムイ」でも登場していた、魚の革の服なども展示されていました。今のように化学繊維がなかった時代の衣服について、改めて知ることができました。
すでに終了している展覧会ですが、また機会がありましたら、ぜひ見てください。
当サイトでは、ぜひ見てもらいたい展覧会をご紹介していきます。
ちょっと余談…
ウール素材にはカシミアやアルパカ、アンゴラ、キャメルなど、たくさんの種類があります。
その元になった動物がまとまっています。面白くてためになる記事でした。
あの毛糸はこの動物たちから作られている。毛糸を生み出す8種の動物 : カラパイア (karapaia.com)