株式会社やまとが運営するブランド「KIMONO ARCH(キモノ アーチ)」が2025年4月1日より始動した。それに合わせ、4月26日には下北沢に国内2店舗目となる路面店をオープン。再開発によって新旧さまざまなカルチャーが入り混じり、新たな魅力を放つ街となった下北沢から日本の文化をどう発信していくのだろうか。
「きものを通して世界を見わたす」をブランドコンセプトに掲げ、世界にあるさまざまな文化や個性を尊重し、結び付ける「架け橋(アーチ)」としての役割を果たすという想いを込めた「KIMONO ARCH」。同社が長年培ってきた着物が持つ深い歴史や、国内に残る織物の産地とのつながりを武器に、自然の移ろいや世界のものづくりをつなぐことで、国境を超えた架け橋となることを目指していく。


「KIMONO ARCH」の金子茉由ディレクターは、「考えていること、軸になっている部分は前身ブランドと変わっていないのですが、もう一歩先へ進めていくためにも世界中の人に想いが伝わるようにと改名しました。23年秋冬からブランドコンセプトを『きもの通して世界を見わたす』とし、ロゴもブランド名の“アーチ(橋)”をイメージしたデザインになっています。日本と世界をつなぐのはもちろん、文化や歴史、きものと人もつないでいきます」と語る。
下北沢にオープンした新店舗はメイン通りから脇道を入った奥にあり、周囲にはこだわりの強い古着店などが並んでいる。ヴィンテージファッションが好きな人はもちろん、下北沢を散策している中で偶然通りかかって発見したかような穴場的な雰囲気も感じさせる場所にある。
「下北沢にはファッション以外にも、音楽や演劇など、さまざまなカルチャーがあり、自分のスタイルを大切にする方が多い街です。街ぐるみでイベントを開催されていて、旅慣れしている外国人観光客も多いです。こういう街だからこそ、架け橋になれるのではないかと思っています」(金子ディレクター)
リメイク着物をカジュアルにコーディネートした金子茉由ディレクター
ユーズドのテーブルクロスとKIMONO ARCHが大切にしていた着物のハギレを組み合わせた一点ものの着物は可愛くて味わい深い
商品はオリジナルのほかに、この店でしか手に入らないリメイクアイテムも展開。仕立ての際に余った生地をパッチワークしてアッパー部分に使用したスニーカーやサンダルは、下北沢一番街発のリメイクブランド「Ripery’s Sugar(ライプリーズシュガー)」とのコラボレーションによるもの。どれも一点ものとして、ユニークな存在感を放っている。
また、年代物のテーブルクロスを羽織に仕立てたアイテムは、usedアイテムをベースに再構築する「YEAH RIGHT!!(イェーライト!!)」とのコラボレーション。古着屋がひしめく下北沢という街の空気感を反映した、ここでしか出会えないラインアップとなっている。
「23年秋冬から帯の代わりにベルトをしたり、襦袢の代わりにタートルネックやフード付きのトップスをインナーに着たりするなど、洋服感覚でカジュアルに着物をコーディネートに取り入れられるような提案をしてきました。デニム地やタオル地の着物、ワンピースのような割烹着なども作ってきましたが、今シーズンはドロストの陣羽織、リボンがアクセントになった作務衣やもんぺなど、今までにないアイテムも登場しています」(金子ディレクター)
着物の枠に捕らわれず、和の衣服にチャレンジした今シーズン。現代のトレンドのエッセンスを加えることで、普段のおしゃれアイテムとしてカジュアルに“和”を取り入れるということは、日本の文化を未来へ伝えることにもつながっていると感じた。

内装は「ネイチャー」「エクスプロール」をテーマに、さまざまな自然素材を活用しながら調和している。金子さんは「ここで深呼吸してくつろいでいってほしいなと思って、自然を感じられる空間にしました」と楽しそうに話す。
入口側の壁沿いには玉砂利が敷かれ、天井からはエアープラントがつるされている。テーブル什器には大木から切り出された一枚板を使い、漆喰塗の壁はどことなく洞窟のような雰囲気もある。さまざまなカルチャーがひしめき合う下北沢の中で、世界と日本、文化と歴史が自由に交錯する場所ができた。

店名 KIMONO ARCH 下北沢店
所在地 東京都世田谷区北沢2-27-2
営業時間 12:00~19:00
定休日 月・火曜日
URL https://www.kimonoarch.com/
Instagram @arch_shimokitazawa