「axes femme(アクシーズファム)」を展開する株式会社アイジーエーは、昨今の集中豪雨や台風、地震などの災害リスクの増加に対応するため、防災意識の向上を目的とした取り組みを強化。特に、全国に展開する店舗の店長およびスタッフ一人ひとりが「自分事」として防災を意識し行動できるよう、店長研修会において防災セミナーを実施している。
2019年10月、台風19号によりピオニウォーク東松山が浸水した。当時出店していた自店も大きな被害を受けたほか、2024年1月に発生した能登半島地震でも店舗被害やスタッフの避難など影響を受けた。これを機に備蓄の見直しはもちろん、全国各地の店舗で働く全スタッフが防災意識を高め、それぞれ命を守る行動ができるようになることが急務と考え、外部講師を招いた防災セミナーを開催している。
セミナー講師として防災の啓蒙活動を行う株式会社EnPal(エンパル)の金藤純子代表取締役を招き、金藤氏自身が西日本豪雨で自宅が全壊した被害を受けた経験を交えて、「他人事」ではなく「いつどこで起きてもおかしくない」災害への当事者意識を持つ必要があることの重要性を説いた。
「ハザードマップなんて見たこともなかった」と、備える以前にリスクすら把握してなかったこと、知っていればもう少し違った行動ができたのではないかと「知っておくこと」の大切さを痛感したと語った。
自宅や勤務先の環境やリスクを把握していなければ必要となる備えも検討できないことから、昨年のセミナーは「知る」をテーマに自分たちの環境やリスクを把握することから始めた。「重ねるハザードマップ」を利用して自宅や勤務先店舗の被害想定リスクを実際に検索したり、想定をもとに店舗運営において何が起きうるかを話し合うグループワークを実施した。
次のステップである「備える」に進むためにはより多くの情報を把握しておく必要があると、今年は「さらに知る」ことを強調したセミナーを開催。ハザードマップ以外にも「地震10秒診断」や「東京備蓄ナビ」など様々な防災ツールを活用し、店舗と自宅のリスクを調査するワークショップをおこなった。
研修会後に実施した参加した店長へのアンケートには、自身が想定していた以上に必要な備蓄量が多かったことや家族・ペットと避難する際に想定しておかなければならないことについての意見が多数集まった。また、実際に豪雨被害や地震の被害を受けた店長たちも多く、過去の経験を振り返って改めて備えないといけないと防災意識を高めるようなコメントも多く見られた。
特に近年は突然のゲリラ豪雨も多発しており、日常生活の中でも危機感を抱く場面も増えていたり、直近でも話題に上がった南海トラフ地震への備えに対しての意見も多く見受けられた。
「SCビジネスフェア」でも「ESぼうさい 『もしも』のとき、守れますか?」というテーマのもと、EnPalの金藤代表取締役、静岡プロパティマネジメント セノバ事業部 佐藤常務取締役、IGA五十嵐代表取締役社長が登壇し、デベロッパーとテナントそれぞれの視点や意見を出し合ったプレゼンテーションは来場者の注目を集めた。
全国の店舗を守ることはスタッフの命を守ることに留まらず、働くスタッフの「職」を守り、復興後の生活を守ることにつながる。防災・災害対策は、企業として力を入れて取り組むべき課題としてとらえる必要がある。全社員が自ら行動できるように、引き続きセミナー開催やサポート体制の整備を行うとともに、会社と全国のスタッフが深く「つながる」ように離れていても日々のコミュニケーションを大切にしていく。