先日、骨格・パーソナルカラー・顔タイプなどのファッション診断やイメージコンサルタントのお仕事をされている方と話す機会がありました。そこで衝撃的な話を聞き、あまりにも驚いて、メモ代わりにTwitterでつぶやいてしまいました。
ファッション診断に対する個人的な印象は、年齢を重ね“トレンドよりも似合うもの”を見つけたい大人の方やファッションに興味があり、いろんなファッションに挑戦してきたにも関わらずライフスタイルの変化などで、何を着たらいいか分からなくなった人が辿り着くものかと思っていました。実際、私自身も自分のファッションに「このままでいいのか?」と思うようになり、骨格診断を受けた経験があります。
パーソナルカラー診断も受けたことがありますが、こちらはパーソナルカラーの概念が日本に上陸して間もない頃に診断してもらい。納得の結果が得られて、非常に興味深く感じたのを覚えています。
ただし、これらの診断は一般消費者が使いこなすのは難しいだろうなという印象でした。この業界に20年以上いる私でも、似合う条件に合う服を見つけることが至難の業なのですから、一般消費者の方にはさらに難しいのではないかと感じたのです。
国内にはたくさんのブランド・ショップがあります。店頭に並ぶ服はそういった診断結果の下に生産されているわけではなく、都のときのトレンド、シーズンテーマに沿って企画・デザインされています。そうなると、似合うシルエットがそのシーズンに展開されていない可能性も多々あるのです。
例えば骨格がストレートの場合、胸元が開いた服をおススメされますが、胸元の開いたデザインの服がその時のトレンドでなければ商品はほとんどないということです。この辺りは販売員であれば理解できるかと思います。
診断に来る困ったちゃんの話
この数年で、パーソナルカラーや骨格診断、顔タイプ診断などのファッション系の診断、イメージコンサルタントが徐々に浸透し、10代、20代の若い方も受けていると聞きます。特にコロナ禍でネットで服を買うようになったのも、あと押しになっているようで、SNSのプロフィールに「イエベ春(パーソナルカラーの結果がスプリングという意味)」や「骨スト(骨格診断でストレートと診断されたという意味)」と記載している人も増えています。
同じ結果の人たちでつながって、「私はこう着こなしてる」と情報交換もできるから良いことだとは思うのですが、あるコンサルタントさんから興味深い話を聞いたのです。きっかけは「最近の困った診断は?」という質問を投げかけたときでした。
その答えが先ほどのつぶやきにつながります。
診断する前に「私はスプリングがいいです!」と自分の願望を言ってしまうとは…と失笑しましたが、ほかにも骨格診断の結果を聞いて「ストレートなんですか…」と落ち込んで帰るお嬢さんもいるそうです。ココまでくると本末転倒です。
さらに話を深掘りすると、お嬢さんたちの間では「骨格ストレートは負け組」「イエベ秋は負け組」という圧力もあるようです。
そして、自分の思い通りの診断結果が得られないと他のイメコンへ診断しに行く。という話もあり、この流れは“いにしえの占い依存”だなと感じました。
そんな私はの診断結果は、骨格ストレート(ただし下半身はウェーブ)×イエベ秋です。どうやら私は負け組のようです(笑)。まぁ、負け組とは全く思っておりませんが……。
占い業界は、相談者にとって都合のいい結果を出してくれるまで、いろんな占い師を渡り歩き、一歩も問題を解決できずに占いに依存してしまうそうです。まさに同じ構造が起きようとしています。
ファッションセンスを磨くために、情報や知識を身につけ、学ぶことが大切であるのは確かなことです。しかし、そこに負け組や勝ち組はありません。また、自分探しや自分を知る一環として、ファッション診断することも良いと思います。ですが、理想と現実の違いに一喜一憂することはありません。
要は知り得た結果をどう有効活用するかなのです。そこ重要になるのが販売員ではないかと思います。
その診断のお仕事をされている方は、30代以上の大人の方は診断結果を真摯に受け止めて、自分に似合うものを選ぶために買い物同行なども依頼されると話しています。
販売員の活躍する方法が広がるかもしれない
個人的にはファッション診断は反対しません。私自身、診断を受けたことで買い物で判断に迷うことも少なくなりました。しかし、依存ビジネス化に向かっているという流れには警鐘を鳴らしておきたいと思います。
それは何故かというと、自分の生まれ持った身体や身体的特徴をちゃんと受け止め、愛でることができて初めてファッション診断は活きてくるものではないかと思うからです。
いろんな所で言っているのですが、ファッション診断の知識こそ、販売員が身につけておくべき知識だということです。
接客中には「よく似合いです」と感覚だけで伝えてしまっている販売員が多く、買い物をしていると「確かに似合っているとは思うけど、いま一つなんだよなぁ……」と感じて買うことを躊躇することがあります。単に「似合う」「可愛い」という一言だけでは、簡単に「買います!」と背中を押せない時代なのです。
そんな時に診断の知識を使い「なんでお客さまには似合うのか」という確固たる理由、お勧めする理由を伝えることができるようになります。感覚で伝えるのではなく、明確な理由をもってお客さまの背中を押せるって「プロ!」って感じじゃないですか?(笑)
反対に、その方の診断結果には合わない服であっても、着こなし方を指南し、お客さまのなりたいイメージを叶える提案ができれば、お客さまも「これがファッションのプロのお仕事なのか」と認めるのではないでしょうか。
こう考えると、まだまだアパレル販売員の仕事や活躍する方法ってありますね。
これからもっと学んでいきましょう!