FashionStudies®︎がファッションビジネス学会+10Y研究部会と共催で、Think of Fashion® オンライン #09 「白による創造性の再解釈 ─20世紀以降の建築、芸術、ファッションの事例を中心に─」を開催する。今回の講座では 、20世紀以降の建築、芸術、ファッションにおける特徴的事例を中心に、「白」がどのようにコンセプトや表現形態として取り入れられ、発展してきたかを見つめ直していく。
「白」は古来より主に純粋性や神霊性の象徴とされ、ファッションデザインの作品例においても多くはそのように参照されてきた。しかし、「白」が持つ創造の可能性とはそれだけなのか。
建築においてはアドルフ・ロースの装飾の否定、ル・コルビュジエの白壁の論考を中心としたモダニズム建築のコンセプトにおける虚飾を取り去った先の「白」について、芸術においてはカジミール・マレーヴィチが創始したシュプレマティズムに見られる非対象性や、既存概念の放棄を象徴する超越的な「白」について考察していく。
ファッションにおいては、メゾン・マルタン・マルジェラの例から、デザイナーの意図的な匿名化による「白」、誰のことも示さず脅かさない私たちの「白」、惹きつけられ魅了される特異な聖域としての「白」について考察していく。
こうして得られた答えは、「白」による創造性の再解釈に結びつき、既存のルールや枠組みにとらわれない新たなファッションデザインを創造する指針をもたらすことが期待されるのではないか。今回は文化学園大学 服装学部 助教の鎌倉明香氏に、「ファッションビジネス学会2022全国大会」で行われた研究発表の内容を中心に話していただく。
講師プロフィール
鎌倉明香(文化学園大学 服装学部 助教)
文化女子大学(現:文化学園大学)卒業。 Central Saint Martins(セントラル・セント・マーチンズ)Graduate diploma in fashion修了。 Royal College of Art(ロイヤル・カレッジ・オブ・アート)Fashion womenswear修士課程修了。
研究テーマ ・20世紀以降の建築、芸術、ファッションデザインにみられる白の象徴性 ・芸術やデザインから考察する無の創造性 ・身体と衣服の間の空間