1991年に発足され、現在もファッション小売業の発展のため、会員企業の販売員の質的向上、親睦交流や社会貢献活動をおこなっている「スペシャリティ ストアーズ アソシエーション(以下、SSA)」。2025年2月27日に今期最後の研修フォーラムⅡが国際文化会館にて開催された。
企業の垣根を超えてチームづくりのためのワークショップを実施
現在、SSA会員企業には、ユナイテッドアローズ、アバハウス、ビショップ、ノーリーズ、ビームスの5社が所属している。各社で勤務する販売員が1年間かけて、研修や社会貢献活動などをおこなってきた。今期は、各社に勤務する店長歴1~3年目の店長を主に合計35人が参加している。
今期1年間の締めくくりとなるフォーラムⅡは、フォーラムⅠの研修テーマである「チームの成果をあげるための組織づくり」を踏まえ、現場で使えるワークショップを中心に実施された。
午前中は、1回目で学んだ「多様性を尊重することへの価値」や「挑戦することの重要性について」あらためて振り返りつつ、実際の面談ではスタッフとどう接するかをワークショップ形式で学ぶ。
近年、企業研修でもマネジメントに必須なスキルとして傾聴力を高めようと力を入れているところが増えている。面談や1on1といった手法を学び、部下の本音を聴き出し、育成やスタッフの今後のキャリアへつなげていくという。
そこで今回は、面談ではどういった姿勢で話を聴けばいいのかを教えてもらった上で、3人一組となってお互いの話を聴き合うワークショップを実施した。

質問は1つだけと限定され、聴く側の姿勢・態度で話を引き出すというワークに、普段は店頭でお客さまにさまざまな質問を投げかけてニーズ確認している店長は少し戸惑う様子も見せた。
ワーク終了後には「質問したいと思ってしまう自分に気が付いた」「質問されることで話しにくくなることがわかった」「姿勢や態度を意識し過ぎて話が入ってこなかった」「スピード感が相手のストレスになっていたかも…」といった感想があがり、日ごろの接客で話を聴きくことに対し、できていると思っていた店長たちの新しい気づきになったのではないかと思う。
1年間の研修を経て得られた絆
午後の研修は、午前中のワークショップから得た学びを共有するディスカッションを実施。各テーブルでさまざまな意見が交わされた。
今期SSAに参加した店長たちは、1回目の研修のあとに社外研修やチャリティーパーティのほか、グループ連絡ツールを使い、研修成果を自店にどう活かしたかといった情報共有もして、親睦を深めてきた。こういった1年間を通して実施してきた研修は、これまでのSSAでは初の試み。企業の垣根をこえ、同じ店長という立場の人と繋がり話し合うという機会は、とても有意義なものになっただろう。

最後の研修を経て、参加した店長たちは「店舗づくりで大切な『信頼関係の構築』を1年間通して学ぶことができました。知って終わりではなく、現場で実践し広げていきます」「実際に部下からの自発的なコミュニケーションが増え、店舗運営が円滑に進むようになりました」「店長同士、共通の悩みや現場での取り組みなどリアルな話ができたことも収穫のひとつ。他社や他店舗と比較することで視野が広がりました。他のメンバーにも経験してほしい」といった感想を述べた。
同じ館内に働いていても、自店の外にでて横のつながりを持つことができない販売員が多いとまだまだ聞くので、これからもこういった機会を経営者側が与えていってほしいと強く思う。