「すべての美は数式であり、ファッションは学問である」を提唱するファッションプロデューサー・服飾専門家のしぎはらひろ子です。この連載では、ファッションのプロとして身につけておいてほしい「ファッション理論」をお伝えしていきます。
前回は、スタイルを良く見せるテクニックの基本である「錯視」について学びました。8回目はその「錯視」をスタイリングに落とし込み、お客様のなりたいスタイルを叶える方法について学んでいきましょう。
錯視や認知心理学がスタイリングに必要な理由
前回、錯視とは目で見た対象物を脳が勝手に補正・変化させて認知してしまうことだと説明しました。そして、さまざまな錯視がある中で、スタイルをよく見せるのに活用できる4つの錯視「ミュラー・リヤー錯視」「エビングハウス錯視・デルブーフ錯視」「フィック錯視」「縦縞・横縞」について、具体例を挙げて見ていきました。
これらは線や図形による錯視でしたが、ほかにも色の錯視(膨張色と収縮色、進出色と後退色)や生地の質感によって膨張して見えたり、収縮して見えたりする効果などもあります。
では、もう少し具体的にスタイリングへ落し込めるように、よくあるお悩みをベースに解説していきましょう。
錯視を用いて理想のスタイルをつくる
■背を高く見せたい場合
背を高く見せたいケースでは、縦のラインを強調することが基本になります。また、上半身に視線が行くように、トップスにデザインや色のあるアイテムを選ぶこともポイントです。
例えば、首元をVネック、前立て部分にアクセントがあるデザインのトップスを選ぶとよいでしょう。
ハイウエストのボトムスやバスト下でに切り替えのあるワンピースなど、上半身をコンパクトにすると視線を高い位置に誘導することができて、背を高く見せることができます。
■背を低く見せたい場合
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