株式会社TSI ホールディングスは、難病や重度の障がいなどで外出困難な方が自宅にいながら遠隔操作で接客を行う分身ロボット 「OriHime(オリヒメ)」の開発・提供を手掛ける株式会社オリィ研究所の所長で発明家の吉藤オリィ氏が開発を進めている「服型アームロボット MOVE WEAR」に装着する「服」を共同開発することを発表した。
今回デザインすることになった「服型アームロボット MOVE WEAR」に装着する服は、吉藤氏の長年の盟友で、2013 年に全身の筋肉が衰えていく難病・筋委縮性側索硬化症(ALS)を発症した武藤将胤さんが 2024 年 11 月に開催するイベントで着用する衣装になる。
武藤さんは手足を動かすことはできないが、目の動きで音楽や映像を操作するDJとして活躍しており、21年に開催された東京パラリンピックの開会式でパフォーマンスを披露。 ALS の課題解決を起点に、誰もが自分らしく挑戦できるボーダレスな社会を創造することをミッションとした団体「WITH ALS」を立ち上げ、クリエイター、DJ、経営者として、エンターテインメント・ テクノロジー・介護の3領域でさまざまなプロジェクトを推進している。
オリィ研究所が運営する「分身ロボットカフェ DAWN ver.β」にて行われた本プロジェクトのキックオフでは、吉藤氏とともに「服型アームロボット MOVE WEAR」の開発を進めるチームの慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科 南澤孝太教授、脳波研究者 荻野幹人博士 、武藤さん、本プロジェクト推進責任者でありTSIホールディングスの下地毅代表が参加。
また、社内コンペで選ばれた「ナノ・ユニバース」のデザイナー、パタンナー、「ReSew」の縫製責任者のスタッフが顔合わせした。
開発を手掛ける吉藤氏はこのプロジェクトについて「私は自分の研究テーマである“孤独の解消“という研究の中で、ALSやSMAなど難病の仲間たちとともに『自分らしさとは何か』『他者から認識される自分の行動とは』『社会参加とは何か』ということをテーマにしてきました。18年間365日欠かさず自分でデザインした黒い“白衣”を着ています。“服”というのは自分そのものではありませんが“服”に身体を通して動くことで、“服”も含めて“自分“であると私たちは自他ともに 拡張して認識します。ALS など重度障害を負ってしまうと身体をほとんど動かすことが出来なくなることもありますが、それが自分の思う自分らしい見た目、動きを含めたファッションを諦める理由になってはいけないと思っています。私たちもいずれ寝たきりになり、身体を動かすことが困難になりますが、たとえそうなったとしても自分らしくあり続けられる社会と繋がり続けられるためのプロジェクトをTSI ホールディングスの皆さまと新たに開発していきます」と思いを述べた。