岩手県北上市の自社工場で「高級カシミヤニット」をつくる株式会社ユーティーオー(以下、UTO)は、英国のハンツマンや豪州J.H.カトラー等、海外高級紳士服店にて日本のニットブランドとしては初の取り扱いが決定し、海外展開に向けた生産拡大のため、廃校になった市内の旧黒岩小学校の校舎へ工場を移転した。
2024年5月11日(土)に、北上市長や商工会、地区交流センター代表の立会いのもと、地元の伝統芸能の演舞も交えた「立地調印式」を開催。アパレルブランド生産拠点の海外移転が相次ぐ中、「北上市をカシミヤニットの聖地にしたい」という目標を掲げ、地元に親しまれてきた小学校の面影を守り、地域と連携していく。
廃校校舎をリノベーションしたカシミヤニットの新工場は、小学校の面影を残した木造建築2階建てで、 広さは968平米。前工場の約4倍に増床。 一般的な工場の暗いイメージを払拭し、北上の景色が一面に見え、 光が差し込んでモノづくりに集中しやすい明るい工場になった。
UTOは、2005年に設立した山梨工場が職人不足などにより閉鎖に追い込まれ、同時期に北上市のニット工場が閉鎖して職人が勤め先を探していると聞きつけた社長が、その職人を雇用するために11年に工場を岩手県に移転。2014年からは、北上市のふるさと納税返礼品としてUTOのカシミヤニットが採用され、10年間で18億円超の寄付を計上してきた。
今年は、イギリス、フランス、スイス、アメリカ、オーストラリア、香港、中国、韓国の計8カ国での販売も決定。新工場では、地元の若者や女性の雇用促進のほか、ゆとりある工場の空間を活かして、工場体験や社会科見学、観光客誘致などで地域の活性化に貢献していく。