「すべての美は数式であり、ファッションは学問である」と力説するファッションプロデューサー・服飾専門家のしぎはらひろ子です。この連載では、ファッションのプロとして身につけておいてほしい「ファッション理論」をお伝えしていきます。
2回目のテーマは「服の役割」。これを知っておくと、お客様にとってより役立つ提案ができるようになりますよ。
「着る」と「装う」の違いを理解する
ファッション業界で働く人として、一番初めに知ってもらいたいことがあります。それは「着る」と「装う」の違いです。
衣服には2つの役割があり、それが「着る」ことと「装う」ことの違いになります。「着る」は、暑さ・寒さなどから体を守るために衣服を身に着けること。
例えばユニクロが掲げている「ライフウェア」という概念は、機能的な素材で着心地の良さも追求し、寒暖から実を守るという「着る」ことに重点を置いた“生活着(ライフウェア)”といえるでしょう。
一方の「装う」は、身分や立場を占めすため身に着けることを指します。
自分はどこの誰かを表したり身分を示したりするために、身にまとうものに意味を込めたのが「装い」です。
それらを歴史から捉えると分かりやすいでしょう。
旧石器時代の狩猟民族は暑さ・寒さから身を守るために捕まえた動物の皮を剥いで着ていました。これが「着る」の始まりです。
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