株式会社ルミネが開催する「ルミネストゴールド認定会」が、2023年10月25~27日にわたりルミネゼロにておこなわれた。ルミネやニュウマンで働くショップスタッフの中から、館ごとに開催される「2023年度ルミネストシルバー・ブロンズ認定会」において、ルミネストシルバーに認定された64名が参加。今年は13名のショップスタッフがルミネストゴールドに認定された。
ルミネがショップスタッフに求める4つの資質
「ルミネスト」はこれまで大舞台でおこなわれるコンテスト形式で開催されていたが、コロナ禍を経て、21年に認定制度へと刷新された。ルミネが掲げる「the Life Value Presenterお客さまの思いの先をよみ、期待の先をみたす。」という「ルミネ理念」に則した提案ができているかを審査する形が、制度として相応しいと考えたためだ。
審査でのお客さま役設定も改善し、より普段に近いリアルな接客を披露できるようにした。
認定会でルミネストゴールドに認定されたショップスタッフは、12月5日に「メズム東京、オートグラフコレクション」にて行われた「ルミネストゴールド認定式」に出席。認定授与式のほかに、ルミネがショップスタッフに求める4つの資質「精神」「感性」「理論」「技術」の中から、「感性」にアプローチする研修要素を取り入れた特別な体験を受けた。

会場である「メズム東京、オートグラフコレクション」は、お客さまの五感を魅了するために練りに練られたコンセプトの下、設計されたラグジュアリーホテル。
ルミネストゴールド認定者たちは、宿泊客のみが利用できるプライベートサロン「クラブメズム」で普段は味わえないスペシャルな時間を過ごし、午後からは隣接する「アトレ竹芝」内に常設するダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森®」で、「エアカフェ®」を体験した。
「エアカフェ®」は、聴覚障害のあるアテンドとサイレンス・インタープリター(手話のできるスタッフ)がカフェの店員となり、参加者とノンバーバル(非言語)コミュニケーションで対話するプログラムが体験できる。
日ごろの接客では、お客さまと対話しながら商品説明や提案をおこなっていくが、音声による説明ができない場ではどうなるのかを考える機会となった。顔の表情やアイコンタクト、ボディランゲージで互いにコミュニケーションを図ることの大切さをあらためて実感することができたようだ。
お客さまの気持ちに思いを巡らせ、創造することは、お客様を接客する販売員にとって大切なことである。こうした認定式でのラグジュアリーな体験やノンバーバルコミュニケーションの世界で得た貴重な経験を、「感性」を磨き、接客に活かしていくことに期待したい。

2023年度ルミネストゴールド認定スタッフ
ルミネ大宮 シロ 岡安美奈
ルミネ北千住 ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング 小野将太
ルミネ池袋 アパートバイローリーズ 三明秋都
ルミネ池袋 ビームス 昼田祐美子
ルミネ有楽町 ラ・プティ・メルスリー 國枝万葉
ルミネ立川 ゴディバ 榎本実代
ルミネ横浜 ローリーズファーム 清水満里奈
ルミネ町田 リサマリ 春田望絵
大船ルミネウィング ファンケル 遠藤路子
ニュウマン新宿 結 浅岡沙栄
ニュウマン新宿 ローズマリーズトウキョウ 丸岡祥太
ニュウマン新宿 ロク 竹井祐介
ニュウマン横浜 クリスプ・サラダワークス 大橋美佳
ルミネストゴールド認定スタッフに直撃!二人にとって「ルミネスト」とは
23年度のルミネストゴールドに認定された、竹井祐介さんと昼田祐美子さん。5回目に挑戦でルミネストゴールドに認定されたという共通点がある2人にとって「ルミネスト」とはどんな存在なのかを伺った。

大卒後2社のアパレルに勤務した後、他の経験を積みたいと異業種へ。しかし、販売職に戻りたい気持ちが高まり、ユナイテッドアローズに入社。
右:昼田祐美子さん(ルミネ池袋「ビームス」)
音楽専門学校を卒業後、音楽関係の仕事に就いたが、もともと興味のあったファッション業界でも働いてみたいと思い、ビームスでアルバイトを始める。
―ルミネスト認定会に挑戦したきっかけや理由は?
竹井祐介さん(以下、竹井さん) きっかけは、会社や店長から「出てみたら」と勧められたことです。
初回は「出場したからには、やっぱりなんとか認定されたい」と強く思っていましたが、何度も挑戦しているうちに「これは自分の目指している接客?」と、認定会への意識が変わっていきました。初めの頃は周囲の応援を受け、自分自身にプレッシャーを掛けていたところもありましたが、意識が変わってからは、“普段通りの接客を見せてゴールド認定されること”がゴールだと思うようになりました。
昼田祐美子さん(以下、昼田さん) どんな世界や業界にも“プロ”がいるじゃないですか、自分がせっかく販売員をしているのであれば、それを突き詰めたいという思いが一番ありました。だた5回連続でブロンズまでしか到達できず、自分にイライラして諦めかけたこともあります。今回は「これで最後だ!」と思って挑戦しました。過去の経験があった分、いい意味で柔軟な接客ができるようになりました。
―日頃の接客で心がけていることはなんでしょうか?
昼田さん とにかくお客さまを笑顔にすること。特にお客さまにとって初めて買い物に来た店であり、初めて会うショップスタッフである場合、最初は緊張するじゃないですか。だからリラックスして会話の中でクスっとしてもらえる空気をつくるように心がけています。服とは関係ない話も、“つい話しちゃった”みたいな感覚になってほしいと思っています。
竹井さん お客さまが何を考えてショップに来たのか、入店の仕方や表情を観察しています。例えば、前もってネットで調べてから来店しているかもしれない、急いでいて早く買い物を済ませたいかもしれない、スタッフと話したくて来ているかもしれない、など気持ちによってお客さまの行動は変わるので。
でもやっぱりファッションが好きなので、お客さまとファッションの話で盛り上がりたい気持ちもあり、お客さまもそう思っているのか表情を観察して、大丈夫な方であればお話しするようにしています。
―昼田さんが心がけている接客では、会話の引き出しが重要になると思うのですが、どうやって話題を増やしていますか。
昼田さん それは観察につきると思います。お客さまが身に着けているもの、ヘアメイクなどを観察して、私が気づいたことを全部お話しするようにしています。例えば、「髪の色が素敵ですね」とか「そのノート、かわいいですね」とか、お客さまの可愛いところ、素敵だと思ったところを素直に言葉にします。
―思っていても「言っていいのかな?」と一瞬考えてしまいそうですが……。
昼田さん そうですね。日本人の奥ゆかしさからすると、あまりはっきり伝える人は少ないかもしれませんね。でも、お客さまも気づいてほしいと思っているかもしれないから、私は声に出して伝えるようにしています。

―竹井さんも観察を大切にしていますが、具体的にどんなところを見ていますか。
竹井さん 入店時は特に見逃さないようにしています。歩くスピードや、真っ先に入店してきたのか、一度素通りしてから戻ってきたのか、お客様の行動によって来店した意図や目的を読み取るヒントが隠れているからです。例えば、素通りしたお客さまは緊張して入りにくかったのかもしれない。それだと最初から距離を詰めるよりは、さりげなく「気になっているものはありますか?」とテンションを抑えて話しかけたほうがいいかなと。
ほかにもスマホを見ながら入店してきた、挨拶のときに目が合ったなど、さりげない行動から見えるお客さまのシチュエーションを見極めています。
―日々の訓練の賜物ですね。ではゴールド認定を受け、これからやってみたいことは。
昼田さん 後進の育成です。接客は一つのマニュアルには収まらない、スタッフの数だけさまざまなやり方があると思うので、私の方法を体現して伝えていくことに取組みたいです。
竹井さん さらにセールスを極めたいと思っています。これまでルミネスト認定会を経験してきて、毎回いろいろな気づきがありました。例えば「ファッションの知識が足りないから舞台で舞い上がったのかな」「所作を意識し過ぎたから接客に集中できなかったな」など。このような気づきを基に改善していったら、接客力よりも人間力が養われたように感じました。この経験を活かして、対面販売の領域だけでなく、新しい形のセールス方法にチャレンジし、追求していきたいと考えています。