9月末、某所で行われた「ゴスロリ読書クラブ」という会に、トークゲストとしてお招きいただきました。
このクラブは、個人でロリータ服の製作販売をされている瑠璃さん(https://twitter.com/orangehoppe)が主宰するもので、ロリータファッションやロリータカルチャーに関する雑誌や参考書籍を集め、それにまつわる人物を招いて、当時の話を伺い、ロリータの歴史を学ぶというとても意義のある活動なのです。
そこで、なんと!90年代初期のロリータファッションを知る人物としてお呼びいただきました。
確かに、下記の記事でも書いた通り、ファッション業界での最初のキャリアはロリータブランドの販売員でした。
https://fashion-commune.jp/feature/why-support/
この記事では仕事のことをメインに書きましたが、このタイミングで自分のファッション遍歴を振り返る機会もいただくことになりました。
読書クラブということで、会場には私が高校から専門学生時代に愛読していた90年代の『CUTiE』や90年代中期のストリートスナップ誌『FRUiTS』のほか、当時の週刊誌などに扱われたロリータファッションに関する記事のコピー、ちょっとエロ要素強めのロリータ写真集などがドーンと用意され、個人的にそれだけでも胸が熱くなりました。

大変嬉しいことに、前半のトークタイムからロリータファッションに身を包んだお客さまがたくさんお集まりいただきました。そこでは当時のストリートファッションやロリータファッションに対する世間の見方などをお話ししました。今から30年も前なことなので、そもそもロリータファッションはどう始まったのか?当時はどんなコーディネートをしていたのか?バンギャとロリータの関係性は?等という点が、皆さんにとっては興味関心が大きいようでした。
その他にも、ココには書けないあるバンドのエピソードなども交え、当時の空気感が少しでも伝わればいいなと思いながら話してみました。その後も皆さんと一緒に『CUTiE』など読みながら、質問もいただき、話したりないくらい楽しい時間を過ごすことができました。

思い返すと、私自身がロリータファッションに傾倒したのは、単に「目立ちたい」という一心だったような気がします。それは当時のストリートファッションを見返すと一目瞭然ではないでしょうか。ストリートには「それ、どこで見つけてきたの?」と思うような、服やアクセサリー、時には自作もして、身につけていたキッズたちがたくさんいました。
この目立ちたいという心理は、もしかすると世代的に人口が多い“団塊ジュニア世代”だからというのも一つの理由かもしれませんね。いま現在のネット社会にいる若者の“何者かになりたい”症候群と似ている気がします。普通にしていたら埋もれてしまうという危機感が若者を駆り立て、その手段が当時はファッションしかなかった、と想像しました。

また、音楽とロリータファッションの関係で思い起こすと、私はヴィジュアル系バントを追いかけていましたが、クラブや他のジャンルのバンドにもロリータファッションの子はいました。そこでも会場で目立ちたい、メンバーに覚えてもらいたい、という思いがあったのではないでしょうか…。と、そんなことを読書クラブからの帰宅の途で考えておりました。
自己顕示欲から身につけていたファッションが、いまでは世界も巻き込み、日本を代表するファッションカルチャーに成長するとは思っても見ませんでした。私はその礎になれたことを自慢していこうと思います(笑)。
瑠璃さん、会場にいらした皆さん、ありがとうございました。