パーソルキャリア株式会社が運営するアパレル・ファッション業界専門の転職支援サービス「クリーデンス」は、「クリーデンス」登録者における2022年のアパレル・ファッション業界の「平均年収」を発表した。
2022年のアパレル・ファッション業界平均年収は346万円で、前年の343万円を3万円上回った。最も平均年収が高い職種は「マーケティング」で473万円、次いで「MD・バイヤー」と「営業・店舗開発」で436万円。「マーケティング」は、EC化の加速によりデジタルマーケティングの知見を持つ人材のニーズが高まっている。また、異業界からスキルのある人材を採用したいという企業の声も多く聞かれることから、年収が高い傾向にあると考えられる。
前年比で見ると、最も上がったのは「店長」で+14万円、最も下がったのは「パタンナー」で-27万円。年齢別では25~29歳は+8万円、30~34歳は+6万円、35~39歳は-13万円。30~34歳では10職種中7職種で前年より増加している。
2022年は、新型コロナ流行により失われた2年間を取り戻す1年となり、リブランディングや新業態の打ち出し、EC化率の増加、SNS活用などを強く推進したことで変革に成功し、コロナ前の売上を上回った企業も多くあった。それに伴い、人材獲得に投資できるようになったことや、昨今の「人への投資」や物価高による賃上げの流れから、業界ではたらく人の年収もアップしているとみられる。
今後は新型コロナの5類移行を受けてインバウンド需要が回復し、売上増加が見込まれることから、「店長」や「販売」など、実店舗での接客にかかわる職種を中心に年収は上がると想定される。一方、コロナ禍から回復したことで業務が増えた企業では、時短勤務者を新たに採用し、仕様書の作成や工場への作業発注などを任せるケースが増えるだろう。
こうした変化は年収に影響を与えることが想定されるが、アパレル業界の長年の課題であった『ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方』が広がるきっかけとなるだろう。